目が覚めた。大きなダブルベッドを一人で使って、今日も快眠だった。可愛い女の子を部屋に呼んで、一緒に寝るのが夢な俺は、そこまで大きくない部屋だが小奇麗にしていつでも準備万端!最近はインテリアにサボテンなんぞ買ってみたりした。この部屋に女性が入ったことは、まだない。
今日こそは!と意気高く合コンの支度。友達のイケメンがセッティングしてくれたのだから、間違いなく可愛い子が一人は来るだろう。俺は特に自信のあるお気に入りのジャケットを身に付け出かけた。
場所は銀座。ちょっと高めの、落ち着いた店内。相手の女性陣は……まぁ、期待していたよりははるかに、可愛くなかった。
だが、おかげであまり気を使いすぎずにしゃべることができた。一人の髪の長い子が自分のおかしなキャラを気に入ってくれたようで、少し仲良くなった。
その後、二人でもたまに会うようになり、彼女の事を色々と知った。こないだの合コンの時は彼氏にふられて落ち込んでいたところだったという。俺は悲しそうな彼女を励ましたいと思い、好きだと告白した。彼女はオーケーしてくれ、俺の部屋に呼ぶことになった。
初めて女性と、あのベッドを使った。
それから、俺の部屋で同棲を始めた。彼女も部屋は狭いが大きなベッドを気に入ってくれたようで、毎日一緒にベッドで寝た。幸せな日々だった。この大きなベッドを一人で使っていた時は、その広いスペースで大の字になって寝ていたが、今は左側に彼女が寝ている。そう、ダブルベッドはこういう風に使うものだったんだ。彼女のおかげで、夢が叶った。
だがある日、突然男が訪ねてきた。
彼女をふったという元彼だった。
彼女と突然訪ねてきたその元彼は俺の部屋で口論を始め、お前が出ていかなければ!とか貴方があんなひどいこと言うから!とか言いたい事を言い合い、そのまま仲直りして部屋を出ていった。
……あれ?
そのまま彼女は帰ってこなかった。一人残された俺は、どういうことだか理解できず今でも彼女がいつか戻ってくると信じている。
彼女と一緒に寝ていた大きなダブルベッドで、今は右側だけを使って眠りながら。
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