「もうー誰―!!!私のプリン食べたのーー!!!」
陽玄堂のプリンは有名なのだ!営業時間前から店の前には列ができる程だし、私だって学校を風邪気味と言い張って早退し、1時間並んで買ったのだ。
「あれ…それユキのだったの?父さんが買ってきてくれたんだと思って食べちゃったわ」
母がしれっとした顔で白状した。
私は怒り心頭で母に罵詈雑言をぶつけた。
「だって…冷蔵庫開けたら入ってたから…」「入ってたらなんでも食べていいの?自分のじゃないって分かってたんだよね?」「ユキ、怖いわよ…」
次の日、私はまだ風邪がひどいと言い張ってごほごほしながら学校を早退し陽玄堂のプリンを買って帰った。今度はプリンに名前まで書いて冷蔵庫に入れておいた。
早退した分の勉強を終えてから冷蔵庫を開けると、そこにプリンの姿はない。
「……お母さん」
「え?ち、違うわよ。私は食べてないもの。父さんが食べたとこ見たわよ?」
「じゃあ止めてよ!!!なんでまたなくなってるのよー!!」
「どうしたユキ。なにか捜し物か?」
「……誰かさんががお腹にしまったものがね」
母の満足そうな表情を、私は見逃さなかった。冷蔵庫のせいで私の家族への信頼は氷点下だ。
翌日、マスクをして学校に行きみんなに心配される程咳をしながら授業を受けた。早退してまたこっそり陽玄堂に並び、プリンを買って帰り名前を書いて「これを食べたら殺す」と手紙を添えて冷蔵庫に入れておいた。そして学校で受けられなかった分の勉強をしてから冷蔵庫を開けると……。
私の名前と食べたら殺すの書置きがくっついた、プッチンプリンが入っていた。
私の堪忍袋が、プチっと切れた。
「ちょっとおおおおおおお!!!!!」
母は、しれっとした顔であら?ユキ、どうしたの?プッチンプリンはまだ残ってたわよ?とか言ってきた。
翌日。
私はストレスでほんとに風邪を引いた。
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