井戸の底
 「おじさんはなんでこんなところに住んでるんですか?」

 旅の少年は純粋な眼差しでそう質問する。

 「バァッカやろう!どいつもこいつもここの住みやすさを分かってないな!ここはタダの井戸じゃない。複数の水源から供給された水が届くんだ。だから汲み口が複数あって、水なんてタダで飲み放題だし、家賃もない。たまに魚が泳いでるし自分が泳いで楽しむことも可能だ。そしてなによりも、上は騒がしいだろ?ここは街と隔絶された、俺の、俺だけの空間なんだ。たまにおまえさんみたいな来客があるがな」

 「なるほどー寂しい人ですねー」

 少年は話を聞きながら部屋の中を歩き回り、タンスを開けて中をまさぐったりツボの中に体を突っ込んで「1Gゲットだぜ!ちっ、全くしょぼくれてやがる」とかやっていた。

 「おいおい何してるんだ!?ここは俺の家だぞっ!!?あれ、1マスずつしか進めない…」

 話に夢中だったおっさんがゆっくりとこちらに向かってくる。

 しかし少年は家探しを続ける。次は部屋の隅にある木箱を開けて「おっ、13Gか…まぁいい」と呟く。ちなみに10Gでこの男は一年暮らせる程の額だ。

 「おい!!!!おい……それだけは勘弁してくれ!!!やめろおおおお!!!」

 泣きそうな顔TдTでおっさんは一マスずつ追いかけてくる。

 何かを感じた少年は再びおっさんに話しかけた。

 「おいガキ…その14Gは俺の大事なへそくりだ…返しやがれ!!!!!」

 そういっておっさんは襲いかかってきた。



 井戸の魔人が現れた!


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